財務状況の分析の大まかな方針

株式購入時の方針

自分の専門や強みを活かし(管理人の場合は機械工学&製造業),事業内容を理解できるシェアNo.1企業を見つけたとする.ではその企業の株を買うべきか?買うならどういうタイミングがいいのか?これを考えたい.
ここで注意したいのは,数字上の優良企業は,すでにたくさんの人が株を購入しており,株価が上がってしまっている場合が多いことだ.どんないい会社だって,高値で株を買っては,投資の原則(いい物を安く買って高く売る)に反する.なので,なるべく長期目線で企業の財務状態を分析し,「今株価が安いのは一過性だ!」と判断できれば株式購入に踏み切ることを基本とする.具体的には,銘柄選別や株式購入の方針を4つ,下記のように定める.
1.将来にわたって市場での優位性を保ち,価値を提供し続ける
2.投資に対するリターン(株主資本に対する利益)が安定的に高い
3.直近の利益の落ち込みが一時的で,株価が割安と判断できる
4.利益の落ち込みがあっても,立ち直るだけの体力があると判断できる

長期スパンで企業の財務状態を分析する

見つけたシェアNo.1が将来にわたって市場に価値を提供できるかを推定するために,事業内容を理解するのはもちろんのこと,財務状態についても可能なら10年スパン(短くても7年程度)の推移を分析する必要がある.長期目線で見るべき4項目の概要をざっくりと書いてみたい.

将来にわたって市場での優位性を保ち,価値を提供し続けるか?

市場で優位性を保つ(シェアNo.1の製品がある)企業は,ブランド価値を製品の価格に転嫁できるため,利益率が高い.したがって,単純な話として,純利益率や粗利益率が高いかを確認する.また,安定した優位性がある,ということは,多額の研究開発費を必要としない(時代のトレンドに左右されない),販売管理費が少ない(宣伝しなくても売れる)こともチェック項目に挙がる.

投資に対するリターン(株主資本に対する利益)が安定的に高いか?

投資をするからにはリターンが高いことが前提(バフェット氏の言葉を借りるなら,米国債以下の利率なら,株式投資する意義はない)ことになる.
もし将来にわたって価値を提供し続けられる企業なら,その企業への投資に対するリターンは,株主資本に対する稼ぎの割合(ROE)に等価であるとみなせる.つまり,ROEが安定的に高いことが重要な物指しになるはずだ.

直近の利益の落ち込みが一時的で,株価が割安と判断できるか?

目を付けた優良企業の株価が,何らかのニュースや世界的な不況などで大きく下落したとする.そのとき,株価が割安かを,時価総額に対する純資産(PBR=純資産/株価×株数)と,純利益に対する時価総額(PER=時価総額/純利益)で判断する.シェアNo.2以下の企業のそれと同等程度であれば,割安と判断して差し支えないと考える.

利益の落ち込みがあっても,立ち直るだけの体力があると判断できるか?

不況の時は「現金が王様」と言われる.したがって,今に至るまでの10年のスパンで,安定的に利益を出し,手堅く現金を積み上げているか(内部留保≈利益剰余金が安定的に増えているか)をチェックする.同時に多額の借金を抱えていないかを確認する.借金のすべてが悪とは言わないが,目安として,今抱えている長期債務が純利益の3倍以下,つまり,順当に事業を営んでいれば,3年以内で借金を完済できる程度かどうか,が一つの判断基準になる.

以上4つの項目のすべてを満たしたら投資,とまでは言い切らないが,これらに着眼して,最終的には「この会社の事業そのものが将来にわたって必要」と思えれば投資する.これらの着眼点を財務諸表から具体的にどう読み取るかは,次の記事に譲りたい.

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